2007年3月9日金曜日

教授、准教授、講師、助教

来年度から法改正により、大学の役職名が変わります友人のブログによくまとまっていたので引用すると、

あるべき姿
Professor→教授
Associate Professor→副教授とか?
Assistant Professor→助教授(これが素直な訳)
Research Assistant→助手

昔の過ち
Professor→教授
Associate Professor→助教授(←これが取り返しのつかない大間違い)
Assistant Professor→助手(←ここの境があいまいなのも間違い)
Research Assistant→助手

来年度からの法改正
Professor→教授
Associate Professor→准教授(うーん)
Assistant Professor→助教(笑)
Research Assistant→助手


なんだそうです。役職名を国際標準に合わせたいというのが主旨で、今の助教授の日本での立場を考えると、他国の標準に照らすとAssistant Professorではなくて、Associate Professorと言う方が適切な場合が多いようで。

参考:Wikipedia:Professor

国際感覚が秀でている国際基督教大学(ICU)では、既に、常勤の役職では、ランク順に

教授 (Professor)
準教授 (Associate Professor)
助教授 (Assistant Professor)
講師 (Lecturer)
の4つに限定していて、助手のポストは非常勤でしか取っていません。ランク的にもProfessorとつく人が上、と、かなりわかりやすいです。

ICUが偉いのは、早々と国際標準に感覚を合わせているところ。一方、今回の法改正は、日本の慣習との折衷案を狙っているらしく、

教授 > 助教授 > 講師 > 助手

というすでに普及している階級制度とのズレを減らそうということまで考えて、この階級と対応させて、名前の変更だけで

教授 > 准教授 > 講師 > 助教

という階級にしたいようで、実際、ほとんどの国立大学では、現行の助教授が准教授、助手がそのまま助教と改名されるようです。今までの助教授のイメージがあるので、講師や助手を助教授と改名せず、あえて助教という新しい(昔に使われていたのである意味古い)言葉を持ち出しています。

もし、助教をAssistant Professorと訳するなら、海外ではtenure track(終身雇用(在職権)への審査期間)に入っていると見なされそうなものですが、日本では教授でも任期付という傾向になっていますから、そもそもtenureなんてものがあり得なくなってきています。今まで終身雇用だった助手さんが、任期付助教に変更させられるなんてこともあるようで。キャリアアップを狙わないような人だと、強制的に、tenureを得られないtenure trackもどきに入れられるようなものなので、不満もでているのでは。研究・授業のサポート役としての助手という職も残されるのでさらに混乱。京大などでは、日本版tenure trackを導入する実験もなされるみたいですが、まだ雇用の安定性に関しては不透明ですね。

そして、講師の立場が宙ぶらりん。今の講師は、非常勤以外では、研究している人だし、本当はAssistant Professorとか助教の成熟期という立場でしょう。また、若いうちから教育のキャリアを積ませたいという意味で、今まで研究を主体的に行ってきた助手を、助教と名付けるという目的もあるようで。

結局大変になるのは、講師の人で、自分の立場を海外で説明するのに一苦労しそう。Assistant Professsor(助教) > Lecturer (講師)と勘違いされても不思議ではないです。

混乱するので、法改正の意図と目標に関して、もう少ししっかりした説明が欲しいものです。Webを探しまわっても、皆混乱しているようで、抗議文とか質問書のようなものはでてくるけれど、必要な情報がでてきません。法改正の通知でも、英語との厳密な対応を与えることを敢えて避けていますしね(言葉の通念と実態を変えない限り対応できないのは当たり前)。本来なら、ICUのように思い切った舵取りをして欲しかったところです。

1 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

しばらくは、
A:「助教です」
B:「ほお、助教授ですか?」
A:「いえ、助教です」
B:「???」
のようなやりとりが見られそう。

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